7冊目 そうだ、「月の影 影の海」を読もう

小説

お読みいただきありがとうございます。
sstです。

今回紹介するのは、小野 不由美さんの「月の影 影の海」です。6冊目に続いて十二国記シリーズです。やっぱり、シリーズものに手を出したら、ちょっと続いてしまいますね。現在刊行されているところまでは続くのか?多少寄り道しながらな感じになるのか?この辺は気の向くままに読んでみようと思います。

以下はAmazonからの引用。

「お捜し申し上げました」──女子高生の陽子の許に、ケイキと名乗る男が現れ、跪く。そして海を潜り抜け、地図にない異界へと連れ去った。男とはぐれ一人彷徨(さまよ)う陽子は、出会う者に裏切られ、異形(いぎょう)の獣には襲われる。なぜ異邦(ここ)へ来たのか、戦わねばならないのか。怒濤(どとう)のごとく押し寄せる苦難を前に、故国へ帰還を誓う少女の「生」への執着が迸(ほとばし)る。シリーズ本編となる衝撃の第一作。

主な登場人物

陽子:女子高生。周囲の友人に合わせてばかりで、自分の意見が言えない。ケイキに異世界へ連行される。
ケイキ:陽子の下僕。異世界からやってきた。異世界ではかなりエライ。
楽俊:人間とネズミの半獣。どっちの姿にもなれるらしい。挿絵的にはイケメン。

どんな物語か

前作とはだいぶ雰囲気が変わり、ファンタジー要素が強くなります。冒頭は日本の女子高生のよくある(?)日常なのですが、主人公の陽子がある日に見た不穏な夢のせいで睡眠不足になり、授業中に居眠りをしたら職員室に呼び出され、説教されているところに謎の男”ケイキ”が現れて異世界へ連行されます。
しかもほぼ問答無用で、選択の余地がありません。近くの窓ガラスは全部突然割れるし、教師たちは血まみれになって倒れるし、なぜか自分は無傷だし、よくわからん化け物が襲い掛かってくるし、、

陽子は何もわからないまま、ケイキに主人として連れていかれてしまうのです。とにかく逃げなければならないと。ケイキに召喚してもらった味方の化け物に乗り、異世界に逃げるのですが、移動中も次々に襲い掛かってくる化け物の待ち伏せによって陽子達はバラバラになってしまいます。

異世界にたった一人にされてしまった陽子。ケイキが陽子の身体に憑依させたジョウユウという化け物と渡された謎の剣のおかげで、異世界でも化け物に襲われながらなんとか生き延びていきます。
ですが、ここは普通の女子高生。心は弱いのです。殺し合いなんてしたくないし、血すらも見たくない。それでもジョウユウが身体を勝手に動かすので、襲ってくる化け物をバッタバッタとなぎ倒していきます。

異世界にくると言語の問題はどうなんだという気がしますが、その辺はなぜか問題ありません。この辺りは後で明かされますが、ちゃんと理由はあるのです。一応、異世界は中国っぽい感じのところで、でてくる人物や町、国の名前がすべて漢字です。なんなら化け物の名前もすべて漢字です。

異世界に来てから、陽子は様々な人と出会いますが、そのほとんどは陽子に取り入った後で騙して金品なりなんなりを奪ってきます。全く信用なりません。
陽子はただの女子高生なので、初めのうちはコロッと騙されてしまうのですが、段々とここにいる奴らに自分の仲間はいないんだと思うようになり、誰のことも信用できなくなります。
陽子が流れ着いた異世界の国の人は、日本から来た人間が災厄をもたらしたということで捕まえようと血眼になって探しているので、陽子は基本的に街の人には日本から来たことがばれないようにしなければなりません。
街の中を歩いていると怪しまれるので、街には寄らず、人のいない夜に行動するようになるのですが、夜は化け物がウヨウヨしています。

碌に休めず、食事も取れずで次第に弱っていき、ついに動けなくなります。

そこで助けてくれるのが楽俊です。人かと思いきや、ネズミです。このネズミ、ホントウにいいやつなんですね。得体のしれない人間を家に連れ帰って、(女子高生の)身体を拭いてやって着替えさせて、飯も食わせてやってと色々尽くしてくれます。
異世界に来てから何度も辛酸をなめさせられてきた陽子にとっては、まだまだ油断できない相手です。そこへネズミの親がやってきますが、ネズミの親はネズミ、ではないんですね。人間です。詳細は割愛しますが、この世界では、生物は樹に生ります。コッチの世界とは全然違うわけで、その辺の常識は全く通用しません。

話が脱線しましたが、ネズミの親も優しい人で、陽子は元気になるまでしばらくこの家族に世話になります。このネズミの楽俊、メチャメチャ賢く、いろんなことを知っています。異世界のことを何も知らない陽子に色々と教えてくれるのです。さらに、陽子の事情を聞いて、どこそこの国に行って王様に相談したらいいとか、どうやって行ったらいいとか教えてくれます。そう、陽子は日本に帰りたいのです。

こうしてとある国に向かうことになった陽子ですが、楽俊も同行してくれるというのです。何が起きるかわからないのにホントウにいいやつ…

旅の道中、街中で化け物に襲われて楽俊と離れ離れになった際、楽俊を口止めしておかないと自分の身分をバラされるかも、、と逡巡し、楽俊を始末しようと考える陽子ですが、街の兵士に見つかるリスクを冒して楽俊を探しに行くよりも先を急ぐべき、と思い直して出発する場面があります。
後に無事、楽俊と合流できたときに当時のことをありのままに楽俊に伝えるのですが、楽俊は多少の落胆はあるものの、すぐに気を取り直して行動を共にします。

この後、陽子と楽俊の会話の流れで、実は陽子がある国の王かもしれないということが判明します。そのときの楽俊の対応と言ったら、、
“ご寛恕ください”とかネズミが言ったらビビりますわ。

陽子が王かもしれないということで手紙を出したりするのですが、そうこうしているところで化け物に遭遇し、これまで戦いは余裕だった陽子が隙をつかれてピンチに陥ります。
そこへ助けに来るのが延王です。王様が直々に助けに来てくれます。しかもメッチャ強い。

この延王はすでに諸々の事情を分かっているんですね。陽子に王になるよう伝えます。
でも、陽子は日本に帰りたい。しかし、陽子が日本に帰ると国の民が困る。

あれこれ悩んでいると、楽俊が陽子に言います。

どっちを選んでいいのかわからないときは、自分がやるべきほうを選んでおくんだ。そういうときはどっちを選んでも必ずあとで後悔する。おなじ後悔をするなら、少しでも軽い方がいいだろ。
(中略)
やるべきことを選んでおけば、やるべきことを放棄しなかっただけ後悔がかるくてすむ。

これはなかなかいい言葉だと思いましたね。やりたい方とかそういうことではないんですね。”やるべきこと”というのは、だいたい周りからの期待(今風に言えばmust)みたいなもので、なんでもかんでもそうしてしまうと優秀な会社員()のようにも感じますが、なんといっても国の民の命がかかってますからね。

陽子は覚悟を決めて、国王になることを決めます。
そして、離れ離れになったケイキを見つけ出して、合流できたところで本作は幕を閉じます。

読んでみてどうか

ファンタジー慣れしてない私には、初めのうちは場面場面があまり想像できない感じでしたが、読み進めるうちに徐々に世界観がわかってきて、楽しめるようになりました。なによりも陽子の人間としての成長がスゴイ。
異世界にきて辛い経験をたくさんしてきたおかげで、別人のようになっています。かつての弱気な女子高生の面影はありません。口調も変わってきてるし。。

文庫本だと上下巻スタイルでそこそこのページ数がありますが、途中でグダることもなく、よいスピード感で物語は進行していくので、読みやすいと思います。

シリーズものを読んでみたい方、ぜひ手に取ってみていただきたいです!

それではまた。

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